ERPシステムの導入を検討している企業が着々と増え、業務効率化を実現できた企業が多数ある一方で、残念ながら「ERPシステムの導入に失敗した」という企業も少なからず存在します。ERPの導入には一定のコストや導入期間を要することが多いため、失敗事例や失敗の経験談を耳にすると、なかなか導入の一歩を踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
今回はERP導入に関して、「失敗」といった面に焦点をあてて、典型的な失敗例、注意点などを用いて解説していければと思います。
目次
1. ERP導入で失敗する企業は意外と多い
前述した通り、ERPを導入しようとする企業のうち、成功する企業も多い中、一定数失敗する企業が存在するのも事実です。
そもそもERP導入の目的として、企業運営における基幹業務を一本化させ、製造、原価管理、生産管理、会計などのデータを一括して運用し、業務効率化を進めることが目的として挙げられます。
記載すると大したことなさそうに見える方もいると思いますが、実際は部門別で業務の進め方が異なっていたり、子会社や顧客、仕入先など管理が複数企業にまたがっている場合も多く、こういった場合にはERPという一つのシステムにすべての業務を集約することが困難な場合が多いです。こういった状況全てに対応するために機能の拡張や最適化した結果、システムが煩雑化し、却って使いにくくなっているといった事も起こり得ます。
前述した通り、ERPシステムの導入はコストもかかり、長期間に及び、大規模なプロジェクトとなることが多いため、「ERP導入し、業務効率化を実現する」といったゴール設定はブラさずに掲げていることが非常に重要になります。
2. ERP導入の落とし穴 失敗するERP導入の特徴
全項目で、ERPを導入することは決して容易ではないことが分かったかと思います。この項目では、ERP導入においてよくある失敗する理由を具体的に解説していきたいと思います。失敗するERP導入の特徴は下記になります。
- ERPの導入が目的となっている
- カタログスペックのみで判断
- 推進力のあるプロジェクトリーダーが不在
- 現場社員を巻き込めていない
ERPの導入が目的となっている
まず、失敗するERP導入の特徴として挙げられるのが、「ERPの導入が目的化」してしまっているパターンです。
前述した通り、ERPの導入はかなり大掛かりなものとなり、長期間要することが多い中で、当初の目的の業務効率化を忘れてしまい、ERPの導入が目的となってしまう企業は多いです。長期間のプロジェクトであっても、しっかりと当初の目的をブラさずに、導入後のことまで考えて導入にあたれば、成功確率は格段に上がると言えるでしょう。
カタログスペックのみで判断
ERPパッケージ導入の際に、カタログスペックだけを見て導入を決断させる方も少数ですが存在します。そのような場合に、選定後の導入における打ち合わせの中で、自社の実態と合わせるにはカスタマイズの追加料金が必要になってくるパターンがあります。ERPの選定を決める際には、カタログスペックだけで判断せず、自社の実態と合致できるものから選びましょう。
推進力のあるプロジェクトリーダーが不在
推進力のあるプロジェクトリーダーの不在もERP導入の失敗要因の一つとして挙げられます。複数部署・企業が長期間に渡って関わる大掛かりなプロジェクトになることが多いため、推進力のあるプロジェクトリーダーは必須です。また、プロジェクトリーダーの選定につきましては、役職だけで判断するのではなく、ERPに対する知識なども加味し、推進力のある方をアサインしたほうが成功確率は高まるでしょう。
現場社員を巻き込めていない
ERP導入は大掛かりなプロジェクトとなる傾向が多いのが特徴とは前述した通りですが、もちろん導入後はやり方を大きく変更するわけですから「今までのやり方」を否定されると捉えられ現場社員の反発も予想されます。そういった中で、導入プロジェクト時点で現場社員も巻き込み、理解を得る努力はERP導入において非常に重要な要素と言えます。
上記がERP導入における代表的な落とし穴になります。ERPの導入を成功させるためにも、上記項目には気をつけるべきです。
3. ERP導入を失敗しないためにやるべきこと
前章でERP導入において陥りがちな落とし穴につきまして解説させていただきました。
本章では、ERPの導入を成功させるためにやるべきことを紹介いたします。
具体的には下記になります。
- 導入当初の目的をブラさない
- ベンダー・パートナーに丸投げしない
- 現場社員を巻き込む
導入当初の目的をブラさない
長期間のプロジェクト故に、「何のためにERPを導入するか」を忘れてしまい、ERPの導入自体が目的と化してしまうパターンが非常に多いことは、前述した通りですが、それを避けるために、常に「目的」を意識することが非常に重要と言えます。その「目的」の達成するために、どういった機能が必要で、逆にどういった機能は不必要かを明確に意識することで、成功確率は高まると言えます。
ベンダー・パートナーに丸投げしない
ベンダー・パートナーに丸投げしない事も成功する要因の一つと言えます。どうしても、ベンダー・パートナーの方がERP導入に関しては知識があるため、丸投げしたくなる気持ちも分かります。しかし、そのような体制を取ってしまうと、自社の実情にあっていない形でERPを導入するハメになってしまう可能性が高いです。導入する対象は自社であり、ベンダー・パートナーより自社の理解度があるのは自社の社員なので、全てを丸投げせずに、自社の実情にそぐわない部分に関してははっきりと伝えることが重要です。
現場社員を巻き込む
最後に、現場社員を巻き込むことが一つの要因として挙げられます。ERPの目的としては、部署横断的な基幹システムを導入し、業務効率化を図る等色々あると思いますが、最終的には社員一人ひとりが使わないと効果を発揮しません。そのため、導入検討段階で社員を巻き込み、意見などを取り込んだ上で実装することが成功の近道とも言えます。
以上がERPシステムを導入する際にするべきことです。上記を徹底することで成功する可能性は上がると言えます。
4. まとめ
今回は、ERP導入において「失敗」といった面に焦点をあてて、解説いたしました。
費用と期間をかけて大規模に導入することが多いERPシステムですが、多くの企業で見られる失敗理由をきちんと把握し、正しく体制を整えることで、成功に導くことが重要です。皆様のERP導入の一助になれば幸いです。
ERPの導入を検討されている方は、ぜひ一度お問い合わせいただければと思います。