DX最前線

このページでは中堅、中小企業のERP導入事例、ヒントとなる情報を紹介し、お客さんのDX化推進をサポートします。

今こそERP導入しなければならない4つの理由

昨年から新型コロナウイルス感染症の影響で、多くの企業がリモートワークの体制に切り替わりました。しかし実際リモートワークの経験を持つ会社が少なく、急な体制の切り替えによって多くの懸念点が生じています。この記事では、こうした懸念点を対応するため、ERPとは何か、そしてERPを導入すべき理由、目的について紹介します。

1. ERPとは

ERPを導入すべき理由について紹介する前に、まずERPとは何かについてご紹介します。ERPとは、英語Enterprise Resources Planning の略称で、直訳すると「企業資源計画」の意味です。つまり企業全体の視点から経営資源(人材、資金、情報など)を統合的配置し、経営の効率化を図ることです。こうした視点を基づいて構築されたシステムをERPシステムと呼び、一般的にはERPはこのシステムのことを指しています。ERPシステムは基本以下の機能が含まれています。

  • 生産管理
  • 販売管理
  • 購買管理
  • 在庫管理
  • 会計管理
  • 人事給与

これらの機能を一つのシステムにまとめて一元管理するのが、ERPの目的です。

2. 2025年の崖について

コロナの影響もありますが、今ERPを導入しなければならない根本的な理由は、「2025年の崖」です。経済産業省が発表した『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』の中で、2025年の時点では20年以上稼働しているレガシーシステムが全体の6割を占めると予測されています。2025年までこれらのシステムを刷新しないと、2025年~30年の間に最大12兆円の経済損失が生じると推定しています。その原因は3つあります。

 1つ目は、レガシーシステムは新しい需要に対応するため、どんどん複雑化、ブラックボックス化になっています。メンテナンスが難しく、運用コストもシステムがもたらす効果を上回っています。

 2つ目は、日本IT業界の特殊な多重下請け構造です。システムを利用するユーザー

企業として自社内でITエンジニアを抱えることは少なく、ほとんどITベンダー企業に外注して開発、保守を委託しています。そのため、自社ではシステムに関するノウハウは全く蓄積されていません。ITベンダーの方もシステム開発を下請けしている影響で、全体像を掴みにくい状態になっています。

 3つ目は開発経験者の退職などによるノウハウの喪失です。2025年に向けて、大規模なシステム開発を行ってきた人材の多くが定年退職の時期を迎え、属人化していたノウハウが失われて、システムのブラックボックス化が起きています。

 2025年の崖を乗り越えない企業は「爆発的に増加するデータを活用しきれずにDXを実現できず、デジタル競争の敗者となる恐れがある」と経済産業省はレポートで提示しました。また、レガシーシステムのノウハウを持つ人材の不在によって、運用の維持が困難になると予想されています。

3. 今こそ、ERPを導入すべき理由

「2025年の崖」については、「まだ早い」と思われるかもしれませんが、実際、コロナの影響で、既にERPを持っているかどうかの差が表面化してきました。リモートワークの体制に切り替えた企業は非常に多いですが、実際にリモートで業務を実行するためのインフラシステムを用意出来ていない企業が非常に多いです。以下では、典型的な問題点をいくつか挙げて、ERPでどのように解決できるかについて紹介します。

①契約関連業務の効率向上

 今の時代でも、依頼書、申請書などの書類を紙でやり取りを行い、ハンコを押して承認するような形で業務を進める管理部門を持つ企業は非常に多いです。普段この形で業務を遂行することは問題ないですが、在宅勤務が出来ず、これらの書類を処理するため、出社しなければならない状況が発生します。例えば契約書は、紙で2部を印刷して印鑑を押して、直筆でサインし、契約金額(取引金額)に応じた収入印紙を購入して貼り付けて、割り印を押して、契約相手に郵送し、契約相手に押印と署名をしてもらい、送付した契約書の一通を送り返してもらうといった手順が一般的ですが、この工程はかなり時間がかかります。

 しかしERPの電子署名ソリューションを導入すると、これらの業務がすべてデジタルで完結することが可能になります。契約書の場合は、印刷をせずにクラウド上で確認してサインを行い、直接契約相手に送ることが可能です。相手はその場で確認し、サインすれば完結になります。これだけでなく、郵送、ハンコを押すなどの手間を省く効果を実現できます。また、ERPを使うと、契約の詳細をいつでも確認できます。例えばサイト間の認証、ハンコが押された日時、契約内容が改ざんされていないかなどを確認できるので、不正を防止する効果も期待できます。

 実は海外では、電子署名は既に標準契約形式になっています。例えば米国のFDAの認証を取るには、認可されたシステム(例えばInfor SyteLine)の電子署名は必要となっているので、海外と取引する場合は、こうした機能を持つERPが必要になります。

電子署名で契約すると印紙税を支払う必要がなくなるため、高額の契約を結ぶときに大きなコスト削減が可能です。

②データの統合とアクセス権限のガバナンス強化

 ERPを導入していない企業では、データが複数のシステムに分散されています。各システム環境が違うため、セキュリティポリシーの運用、アクセス権限なども別々で管理することが多いです。そのためシステム間のデータの連携が悪く、誰がどの時間でどのシステムにアクセスしたのも非常に把握しにくく、トラブルも発生しやすいです。

 これらの問題に対して、ERPでは、各データは統合データベースで一元管理、統合管理する機能があります。ERPを導入すると、企業が有するデータを統合し、統一したセキュリティポリシーで保護できようになります。またデータが統合されているので、ダブルエントリー回避で業務効率向上を図ることができます。さらにシステムのメンテナンス負担とコスト削減効果があります。

③経営データのリアルタイム化

 ERPを導入することで、でデータはただ統合されたわけではなく、経営に関するデータをリアルタイムでまとめてBIツールで経営者に表示する機能があります。経営者は欲しい時に必要な情報を確認でき、組織全体のデータを確認しながらデータドリブン的な意思決定を行うことが可能になります。

4. まとめ

いかがでしょうか。

この記事を読んで、ERPの機能と効果に対する認識を深めていただけましたでしょうか。経済産業省が発表した『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』の中で、2025年には20年以上稼働しているレガシーシステムが全体の6割を占めると予測されています。2025年までにこれらのシステムを刷新しないと、2025年~30年の間に最大12兆円の経済損失が生じると推定されています。ERPの導入から定着まで持って行くには、実は2年以上かかることが多いです。今のうちにDXを推進しなければ、今後遅れが出る可能性が非常に高いです。ERP導入でDX推進を検討している方は、是非一度弊社までお問い合わせください!