DXで進化するERP!デジタル時代に必要な最新システムの選び方

  • ERPの導入方法がわからない
  • DXとERPの関係性が理解できていない
  • ERPを導入してビジネスを効率化したい

DX化を進めるためにERPの導入を検討しているものの、メリットや導入方法がわからないという方は多いです。この記事では、DXにおけるERPの重要性や、クラウドERPを導入するメリット、導入手順について詳しく解説します

ERPを導入する際は、まず現状の業務プロセスを把握し、導入目的を明確化しましょう。そのうえで自社に合ったERPベンダーを選択すれば、効果的なDXを実現できます。

DXの基礎知識

DXは、企業の成長と競争力強化に不可欠な取り組みです。継続的な経営課題として、企業はDXに取り組む必要があります。DXの定義や段階的なDX化のステップ、デジタル化やIT化との違いについて詳しく見ていきましょう。

DXの定義

DXとは、デジタル技術を活用したビジネスモデルの変革を示す概念です。ビジネスモデルや組織、プロセス、企業文化までも含めた根本的な変革を意味します。顧客価値の創出と競争力の強化を目的とし、データとデジタル技術を活用してイノベーションを促進するのが特徴です。以下のような取り組みが含まれます。

  • 既存の価値観や枠組みの見直し
  • 顧客体験の向上
  • 業務プロセスの最適化

DXは、企業が変化する市場環境に適応し、成長し続けるための取り組みとして欠かせません。一度きりの変革ではなく、継続的なプロセスで改善と最適化を行っていく必要があります。

DXの3段階

DXの推進は、一般的に以下の3段階を経て進められます。

  1. デジタイゼーション:アナログ情報をデジタル化する段階
  2. デジタライゼーション:デジタル技術を活用してビジネスプロセスを効率化する段階
  3. デジタルトランスフォーメーション:デジタル技術を活用してビジネスモデル自体を変革する段階

DXは組織全体の変革を目指して段階的に進化します。各段階で適切な技術とツールを活用するだけでなく、組織の文化や考え方の変革が欠かせません。順に段階を進めることで、企業は真のDXを実現できます。

デジタル化やIT化との違い

DXとデジタル化、IT化は混同されがちですが、それぞれ異なる概念です。デジタル化は単にアナログ情報をデジタル形式に変換すること、IT化は既存の業務をITシステムで効率化することを意味します。

デジタル化やIT化は業務効率化を目的としていますが、DXの意味するところは単一業務の効率化にとどまりません。組織全体の変革を伴う広範囲で戦略的な取り組みになり、以下のような内容を含みます。

  • ビジネスモデルの変革
  • 顧客体験の向上
  • データ活用による競争力強化
  • 継続的な改善と革新

デジタル化やIT化が既存のプロセスをデジタル化するだけなのに対し、DXは新しい価値創造を重視します。経営戦略と密接に結びついているのもDXの特徴です。単にITシステムを置き換えるだけでなく、ビジネスプロセス全体を見直し再設計するため、組織文化の変革も必要となります。

ERPの基礎知識

企業の業務効率化や情報管理において、ERP(Enterprise Resource Planning)は欠かせない存在です。ERPの定義と主な機能・メリットについて解説します。

ERPの定義

ERPは、Enterprise Resource Planning(企業資源計画)の略称です。企業の持つ経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を統合的に管理し、経営の効率化を図るための統合基幹業務システムを指します。

財務・人事・生産・販売・在庫などの業務を一元管理し、リアルタイムでデータを共有することで意思決定を支援します。ERPで実現できることを以下にまとめました。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                               

  • 業務の効率化と標準化
  • リアルタイムでの情報共有
  • データの一元管理による経営の可視化
  • 意思決定の迅速化
  • 部門間の情報共有促進

ERPには、自社でサーバーを管理するオンプレミス型と、インターネットを通じて利用するクラウド型があります。中小企業から大企業まで幅広く導入されていますので、企業の規模や業種に合わせて選択してください。導入には業務プロセスの見直しが必要なので、十分な準備と計画が重要になります。
» ERPとは?導入のメリットから選び方までわかりやすく解説!

主な機能とメリット

ERPの主な機能には、以下のものがあります。

  • 財務管理:会計処理や財務報告を統合的に管理
  • 人事管理:従業員の情報や給与計算、労務管理を効率化
  • 在庫管理:在庫の入出庫や在庫レベルをリアルタイムで把握
  • 販売管理:受注から出荷までのプロセスを一元管理
  • 生産管理:生産計画や進捗をリアルタイムで監視

各種の機能の一元化で、以下のような業務プロセスの効率化や情報の透明性が向上します。

  • 業務効率の向上:データの重複入力が不要になり、業務時間を短縮
  • 情報の一元化:リアルタイムでデータを共有でき、迅速な意思決定が可能
  • コスト削減:業務の重複や無駄を排除し、コスト効率を改善
  • 顧客満足度の向上:迅速な対応や正確な情報提供により、顧客サービスを強化

ERPはスケーラビリティが高く、企業の成長に合わせて柔軟に対応できます。コンプライアンスや内部統制の強化にも役立つのが特徴です。

最近のERPシステムは、モバイル対応やクラウド化が進み、リモートワークの支援や運用コストの削減が可能になりました。AIやIoTなどの先端技術との連携も進んでいるので、より高度な業務管理が実現できるようになっています。
» ERPと生産管理の違いを知って業務効率化しよう!

DXでクラウドERPを導入するメリット

クラウドERPの導入は、DX推進に大きな効果をもたらします。主なメリットは、以下のとおりです。

  • リアルタイムでデータの処理・分析ができる
  • 常に最新のシステムを利用できる
  • 業務の効率化を図れる
  • セキュリティ対策されている

リアルタイムでデータの処理・分析ができる

クラウドERPの最大の特徴は、リアルタイムでのデータ処理と分析が可能な点です。従来のシステムではデータの更新や分析に時間がかかり、タイムラグが発生していました。クラウドERPでは、入力されたデータが即時に全社で共有されます。在庫状況や売上データをリアルタイムで確認できるので、対応に遅れが生じません。

最新の情報にもとづいて迅速な経営判断ができ、市場の変化や顧客ニーズの変化にも素早く対応できます。部門間でのデータ共有がスムーズになり、組織全体の連携が強化できるのも強みです。営業部門の最新情報を生産部門と共有すれば、需要に応じた生産調整が可能です。

常に最新のシステムを利用できる

クラウドERPでは、ベンダーがシステムを最新の状態に保ちます。自動的にアップデートされるため、企業は常に最新のバージョンを利用でき、自社でアップデートを管理する手間もありません。最新のシステムを利用すると、以下のメリットがあります。

  • セキュリティパッチの迅速な適用
  • バージョンアップの手間や追加コストが不要
  • 最新技術やトレンドへの対応
  • ユーザーインターフェースの最新化

法改正などの対応も迅速に行われるので、コンプライアンスの面でも安心です。

業務の効率化を図れる

ERPの導入により、業務プロセスを大幅に効率化できます。手作業で行っていたデータ入力や集計作業をシステムが代行するため、人的ミスのリスクがありません。担当者の負担を軽減し時間を節約できるだけでなく、より付加価値の高い業務に社員が集中できる以下の環境づくりに役立ちます。

  • ペーパーレス化
  • 意思決定の迅速化
  • 人的ミスの削減
  • 業務プロセスの標準化

モバイルアクセスが可能なことも見逃せません。場所や時間を問わず業務を遂行できるようになり、リモートワークの推進に役立ちます。柔軟な働き方が可能になり、従業員の生産性向上につながります。

セキュリティ対策されている

クラウドERPは、高度なセキュリティ対策が施されています。ベンダーが最新のセキュリティ技術を導入しているため、自社でセキュリティシステムを構築する必要がありません。データの暗号化や多要素認証、不正アクセス検知などにより、情報漏洩リスクを大幅に減らせます。以下のセキュリティ対策が取られています。

  • クラウドプロバイダーによる監視
  • セキュリティアップデート
  • データのバックアップ
  • ユーザー権限設定

セキュリティ対策は技術面だけではありません。コンプライアンス基準に準拠した対策も行われているので、法令遵守の面でも安心です。セキュリティ監査ログの記録と分析機能も備わっているため、不正アクセスなどの問題が発生した場合も迅速に対応できます。

ファイアウォールやアンチウイルスソフトの統合も行われるため外部からの攻撃に強く、データセンターの物理的なセキュリティ対策も万全です。

DXでERPを導入する手順

DXの一環としてERPを導入する際は、計画的なアプローチが重要です。以下の手順でスムーズに導入しましょう。

  1. 現状の業務プロセスを把握する
  2. 導入の目的を明確にする
  3. ERPベンダーを選ぶ

現状の業務プロセスを把握する

効率的なシステム設計と円滑な導入を実現するには、まず現状の業務プロセスを詳細に把握します。各部門の業務フローを可視化し、非効率な点や改善が必要な箇所を特定しましょう。以下の項目を洗い出して整理してください。

  • 各部門の業務内容と関連性
  • 使用中のシステムやツール
  • データの流れと管理方法
  • 業務上の課題や非効率な点
  • 社内のコミュニケーション方法
  • 意思決定プロセス
  • 業績管理や報告の仕組み

業務プロセスの可視化には、業務フロー図やヒアリング調査が有効です。コンプライアンスや規制要件、顧客や取引先とのやり取りなども把握しましょう。綿密な分析には時間と労力がかかるので、十分な準備期間を設けてください。

導入の目的を明確にする

ERP導入の目的と達成したい目標を明確に設定します。目的が曖昧だと、導入後の効果測定や必要な機能の選定がスムーズに行えません。プロジェクトの方向性を定め、関係者の意識を統一する意味合いもあります。以下のような目標を定めましょう。

  • 業務効率化の数値目標
  • コスト削減の目標金額
  • データ活用の方針
  • 部門間連携の改善ポイント
  • 顧客サービス向上の具体策

目的を設定する際は、現状の課題を踏まえつつ、経営層や各部門の意見を取り入れることが大切です。明確な目標設定はプロジェクトの進捗管理や効果測定にも役立ち、社員への説明や協力依頼もしやすくなります。あまりに多くの目的を設定しすぎるとかえって焦点がぼやけてしまうため、優先順位をつけて3〜5個程度に絞りましょう。

ERPベンダーを選ぶ

目的や要件に基づいて、適切なERPベンダーを選定します。単に機能や価格だけでなく、業界経験、サポート体制、将来的な拡張性なども考慮に入れて選定しましょう。以下の点に注目してください。

  • 業界特化型ERP
  • カスタマイズ性・拡張性
  • デモ・無料トライアル
  • 導入実績・顧客評判
  • 技術サポート
  • アップデート
  • セキュリティ対策
  • 他システム連携
  • 価格・ライセンス体系
  • トレーニング・サポート

複数のベンダーを比較検討し、デモンストレーションやトライアル版なども活用するのがおすすめです。ベンダーの財務状況や将来性も考慮に入れましょう。適切なERPベンダーの選択は、長期的な企業の成功につながる重要な決定となります。
» ERPの導入ステップ|最適な選択で経営効率アップを実現!

DXにおけるERPベンダーの選び方

ERPベンダーの選定は、DX推進の成功を左右する重要な要素です。十分な情報収集と比較検討を行い、必要に応じて専門家の意見を取り入れましょう。以下の4つの観点から、慎重に評価を行う必要があります。

  • 必要機能
  • コストとROI
  • サポート体制
  • 最新技術の活用状況

必要な機能を比較する

ERPを導入する際には、自社の業務に必要な機能を備えたシステムを選ばなければなりません。主に以下の機能があります。

  • 財務会計機能
  • 管理会計機能
  • 販売管理機能
  • 生産管理機能
  • 人事管理機能

自社の業務に必要な機能を洗い出し、各ERPベンダーの提供する機能と照らし合わせましょう。基本機能だけでなく、業界特有の要件に対応できるかどうかも確認します。将来の事業拡大を見据え、システムの拡張性も考慮してください。グローバル展開を考えている場合は、多言語・多通貨対応も重要な選択基準です。

すべての機能を一度に導入する必要はありません。段階的な導入で、負担を減らせます。ベンダーによってカスタマイズの難易度や費用が異なるので、慎重に比較検討しましょう。

導入コストとROI(投資対効果)を比較する

ERPの導入には初期費用だけでなく、運用コストやアップグレード費用なども含めた総所有コスト(TCO)を考慮する必要があります。ERPの導入によって得られる効果(業務効率の向上、コスト削減など)をあわせて試算し、ROIを計算しましょう。以下の点を考慮して比較を行います。

  • 導入前後のコスト削減効果
  • 生産性向上や業務効率化による経済的効果
  • 競合他社との比較における競争優位性
  • 長期的な事業成長への貢献度

リスク要因と対策コストも含めて検討してください。業界平均や成功事例のROIと比較すると、より現実的な判断ができます。高価なシステムが必ずしも自社に最適とは限らないため、投資対効果を明確にしましょう。

サポート体制と信頼性を比較する

ERPは導入後のサポートが重要です。ベンダーのサポート体制やトラブル対応の迅速さ、過去の実績を確認しましょう。以下の点をチェックしてください。

  • 24時間365日のサポート体制
  • 専門知識を持つスタッフの対応
  • オンサイトサポート
  • トレーニングプログラム
  • ユーザーコミュニティ

信頼性の高いベンダーを選ぶと、導入後のリスクを低減できます。信頼性の面では、導入実績や顧客満足度、ベンダーの財務状況、事業継続性、セキュリティ認証の取得状況などが指標になります。データバックアップと災害復旧対策、SLAの内容と保証レベルも重要な要素です。

最新技術の活用状況を確認する

DXの推進には、AIやIoT、ビッグデータ分析などの最新技術の活用が欠かせません。先進的な技術を取り入れたERPは、競争力の強化につながります。以下の最新技術の活用状況を確認しましょう。

  • AIや機械学習:高度なデータ分析や予測能力
  • IoTデバイスとの連携:リアルタイムでのデータ収集や監視が可能
  • ブロックチェーン技術:取引の透明性や安全性を担保
  • クラウドネイティブアーキテクチャ:優れた柔軟性とスケーラビリティ
  • モバイルアプリの提供:場所と時間を選ばない業務遂行環境

最新技術の活用状況は、ベンダーの技術力や開発力を示す指標でもあります。将来的な技術トレンドに対応できるERPを選べば、長期的な競争力を維持できます。
» ERPでのAIの活用方法と導入のメリット・デメリットを解説

DXにおけるERP導入に関するよくある質問

ERP導入に際して、多くの企業が抱く疑問や不安に対する回答をまとめました。

ERPの導入にはどれくらいの時間とコストがかかる?

ERPの導入期間とコストは、企業の規模や業務内容、システムの複雑さによって大きく異なります。一般的には、中小企業で数か月から半年、大企業では1年から2年程度が目安です。コストについては、中小企業の場合は数百万円から数千万円程度、大企業では数億円以上の費用がかかることも珍しくありません。

クラウドERPは初期費用を抑えられる傾向にあるため、コスト面で有利です。導入にかかる時間とコストに影響を与える要因には、以下のものがあります。

  • カスタマイズの要望
  • 社内の協力体制
  • 段階的導入

カスタマイズの要望が多いほど時間とコストが増加し、社内の協力体制や準備状況によっても期間とコストが変動します。導入後の運用コストも考慮しなければなりません。システムの保守や更新、社員のトレーニングなどにも費用がかかります。導入で得られる効果とかかるコストを比較し、投資の妥当性を判断してください。
» 中小企業のERP導入|メリット・デメリットと選び方を一挙解説!
» ERP導入にかかる費用を徹底解説!

ERPを導入するときの注意点は?

ERP導入の際の注意点として、以下が挙げられます。

  • 明確な目標と導入計画を立てる
  • 経営層のサポートを得る
  • 適切なプロジェクトチームを編成する
  • ユーザーの要望を十分に把握する
  • カスタマイズは最小限に抑える
  • データの移行と整理を慎重に行う
  • 導入後の運用・保守体制を整える
  • ユーザーの教育・トレーニングを十分に行う
  • 適切なセキュリティ措置を講じる
  • 段階的な導入を検討する
  • 適切なコスト管理を行う
  • ベンダーとの良好な関係を築く

まとめ

ERPの導入は企業の競争力を大きく左右します。クラウドERPは、リアルタイムでのデータ処理や最新システムの利用、業務効率化など、多くのメリットがあります。ERP導入を成功させるためには、以下の点に注意しましょう。

  • 現状の業務プロセスを把握
  • 導入目的の明確化
  • 適切なERPベンダーを選択

DXにおけるERP導入は、今後の企業成長に欠かせない重要な取り組みと言えます。ぜひ、この記事を参考にDX推進の一歩を踏み出しましょう。