ERPの連携機能とは?重要性や4つの具体例・活用時のポイントを解説!

ERPの導入検討において、他のシステムとの連携に不安を抱いている企業は多いです。ERPの導入は企業の業務効率化に大きな効果をもたらしますが、他のシステムとの連携は大きな課題です。当記事では、ERP機能の具体的な連携方法と活用方法を解説します。

記事を読み、ERPの連携機能の理解を深め、自社に最適な活用方法を把握しましょう。

ERPの連携機能の重要性

ERPの連携機能は、企業の業務プロセス全体を効率化し、生産性を向上させる重要な役割を果たします。ERPの連携機能を活用すれば、以下の実現が可能です。

  • 情報の一元管理
  • 業務プロセスの自動化
  • リアルタイムのデータ共有
  • 部門間のコミュニケーション改善

ERPの連携機能により、業務効率や生産性の向上、コストや労働時間の低減などの効果が期待できます。
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ERPを他のシステムと連携する方法

ERPを他のシステムと連携する方法は以下のとおりです。

  • API連携
  • ファイル連携
  • データベース連携
  • Webサービス(Web API)による連携

それぞれの連携方法の特徴とメリットを紹介します。

API連携

API連携とは、APIを使用してデータ連携し、機能の拡張をはかることです。API連携により、リアルタイムでのデータのやりとりや、サービス間のデータ連携が容易になります。ERPシステムはREST APIやSOAP APIなど、さまざまな種類のAPIに対応しています。

ERPシステムがさまざまな種類のAPIに対応していることから、他のシステムとの連携が容易になる仕組みです。ERPシステムはセキュリティ面でも優れています。APIキーやOAuthを使用した許可プロセスにより、許可された人だけがアクセスできます

ERPシステムでは、開発者向けのサポートも充実しており、APIの仕様書を提供しているケースが多いです。仕様書を読めば、連携作業をスムーズに進められます。API連携により業務プロセスの効率化や自動化の実現が可能ですが、注意点もあります。

APIプロバイダーは、システムの負荷を軽減するために、API呼び出しの回数に制限を設けているケースが大半です。制限を超えると、一時的にサービスが利用できなくなったり、追加料金が発生したりする場合もあります。APIのバージョン更新により、使い方が変わる場合もあります。

APIの更新情報を確認し、必要に応じて自社システムを更新してください。

ファイル連携

ファイル連携とは、ERPシステムと他のシステム間において、ファイル形式でデータをやりとりする方法です。CSVやExcelファイルを使用してデータを交換します。多くの企業の既存ファイル形式を活用できるため、導入が容易です。ファイル連携はシンプルで理解しやすいですが、セキュリティの確保が欠かせません。

セキュリティを確保するためには、ファイルの暗号化やアクセス制御などの対策が必要です。ファイル名の規則の統一や、エラー処理やログ記録の仕組み整備により、安全かつ安定した連携が可能となります。データの整合性チェックやバックアップ、履歴管理などにも注意を払う必要があります。

安全性や正確性の高いファイル連携を実行すれば、業務効率の向上が可能です。

データベース連携

データベース連携とは、異なるシステムやアプリケーション間でデータベースのデータを共有、統合する方法です。ERPシステムとデータベースを直接つなぐと、データをスムーズに共有できます。データベース連携では、SQLという特別な言語を使うと、データベースの情報を自由に操作可能です。

自由な操作により、企業の情報管理を効率化できます。リアルタイムでデータを同期できるため、常に最新情報を維持できます。データベース連携は、大量のデータを扱う企業に有効な方法ですが、以下の点に考慮が必要です。

  • データベースの種類に合わせた接続方法を選ぶ
  • セキュリティ設定をする
  • データの処理を正しく管理する
  • 情報の整合性を保つ仕組みを構築する

ERPシステムとデータベースを連携させれば、企業の情報管理機能を大きく改善できます。

Webサービス(Web API)による連携

Webサービスによる連携とは、Web APIを活用して異なるシステムやアプリケーション同士を連携させる方法です。HTTPやHTTPSなどの通信規格を利用してデータを連携します。Webサービス連携では、JSONやXMLなどの標準的なデータ形式を使用するため、スムーズなデータのやりとりが可能です。

Webサービスによる連携のメリットは、以下のとおりです。

  • クラウドサービスと連携できる
  • 複数のシステムを同時に接続できる
  • さまざまな言語で使用できる
  • データを自動更新できる

Webサービスによる連携では、セキュリティ面に注意を払う必要があります。APIキーやワンタイムパスワードを生成するツールの管理を徹底し、情報漏えいを防止しましょう。Webサービスによる連携でERPシステムの機能を拡張できますが、使い方を間違えると問題が起きる可能性もあります。

必要に応じて専門家のアドバイスを受けましょう。

ERPの連携機能・4つの具体例

ERPの連携機能の具体例を紹介します。

販売管理システムとの連携

ERPと販売システムを連携させれば、業務の効率化と正確性の向上を実現できます。ERPと販売管理システムの連携により、多くの作業が自動化されるため、人為的ミスの低減が可能です。販売管理システムとの連携では、以下の機能の実現も可能です。

受注データの自動取り込み
顧客から受注が入ると、自動的にERPシステムにデータが転送されます。受注情報を手動で入力する必要がなくなり、入力ミスや遅延の防止が可能です。ERP上で販売計画や生産計画などが自動で更新されるため、リソースの最適化や生産スケジュールの調整もできます。
在庫情報のリアルタイム更新
ERPと販売管理システムの連携により、在庫情報がリアルタイムで更新されます。在庫状況を常に把握することで、在庫不足による納期遅延や顧客満足度の低下が可能です。
顧客情報の一元管理
販売管理システムとERPシステムで顧客情報を共有し、一元管理を実現します。営業部門やマーケティング部門、カスタマーサポート部門が共通の顧客情報にアクセスでき、一貫したサービス提供が可能です。
売上データの自動集計
発生した売上データを自動的にERPシステムに集計し、売上分析や財務管理に活用できます。決算処理の効率が向上し、正確な売上予測や戦略立案が可能です。
価格設定の一括管理
販売管理システムと連携しているため、価格変更やプロモーションの設定がリアルタイムで各販売チャネルに反映されます。商品やサービスの価格設定の一元的な管理が可能です。

ERPと販売システムとの連携により、販売業務全体の効率を大幅に向上できます。市場の変化に素早く対応できるため、企業の競争力向上も可能です。

会計システムとの連携

ERPと会計システムの連携により、財務管理の効率化と正確性の向上が実現できます。手作業によるデータ入力の手間が大幅に削減されるため、人為的ミスの低減も可能です。会計システムと連携すれば、以下の機能を利用できます。

  • 財務データを同時に同期
  • 仕訳の自動生成
  • 売上や経費の即時反映
  • 財務諸表の自動生成

上記の機能を利用すれば、最新の財務状況を常に確認できるため、迅速な意思決定に役立ちます。予算管理との連携や税務申告の効率化など、高度な財務管理の実現も可能です。会計システムとの連携は、グローバルな事業展開や複雑な組織構造を有する企業にとって大きな助けとなります。

在庫管理システムとの連携

ERPと在庫管理システムの連携により、在庫管理の効率が大幅に向上し、企業の在庫管理プロセス全体が最適化されます。以下の機能が実現可能です。

  • リアルタイムな在庫情報の更新
  • 発注プロセスの自動化
  • 在庫レベルのモニタリングや予測
  • 倉庫管理の効率化
  • 在庫の一元管理
  • ロットや有効期限の管理
  • 在庫回転率や適正在庫レベルの分析

ERPと在庫管理システムを連携させれば、在庫の入出荷管理がより正確かつスピーディーになります。食品や医療品など、日付管理が欠かせない商品を扱う企業においては、ロットや有効期限の管理機能が重要です。在庫回転率や適正在庫レベルの分析が可能となれば、過剰在庫や在庫切れのリスクを最小限に抑えられます

ERPと在庫管理システムの連携により、原材料の調達から製品の配送まで、一貫した在庫管理が可能です。

CRMシステムとの連携

CRMシステムとERPとの連携には、以下のメリットがあります。

顧客データの正確性と最新性の向上
顧客データがリアルタイムで同期され、各部門が一貫した正確なデータにアクセスできるようになります。手動でのデータ入力や管理に伴うミスが減少し、常に最新の顧客情報に基づいた業務が可能です。
営業活動の進歩管理と追跡の簡易化
CRMシステムで顧客とのやり取りや進捗を記録し、ERPシステムと連携すると、顧客の購買プロセス全体が可視化できます。連携により業務効率が高まり、営業担当者は戦略的な判断が可能です。
マーケティングキャンペーンの効果測定と最適化
マーケティングキャンペーンの参加者や成果を記録し、ERPシステムと連携すると、キャンペーンの効果を正確に測定できます。効果測定の結果を次回のキャンペーンに活かし、より効果的なマーケティング活動の実施が可能です。
カスタマーサポートの質の向上
カスタマーサポートの担当者が顧客の購入履歴やサポート履歴、支払い状況などの情報を一元的に把握できるようになります。問い合わせ対応や問題解決の迅速化が図れ、より的確なサービスの提供が可能です。
顧客分析とレポート作成の効率化
顧客データを統合し、分析ツールを活用して顧客分析レポートを作成します。より詳細な顧客プロファイルが形成され、経営陣や営業部門がデータに基づいた意思決定を迅速に行うことが可能です。

連携により、顧客サービスや営業活動、マーケティング、カスタマーサポートが統合され、企業全体の効率と生産性が向上します。

ERPの連携機能の課題と解決策

ERPの連携機能の課題における解決策を紹介します。

インタフェースの調整

ERPの連携機能を効果的に活用するためには、インタフェースの調整が必要です。インタフェースを調整すれば、異なるシステム間のデータ連携もスムーズです。インタフェースの調整には、以下の作業が含まれます。

  • データフォーマットの標準化
  • フィールドマッピングの実施
  • データ交換ルールの設定
  • エラーハンドリングの実装

インタフェースの調整には技術的な知識が必要です。専門家のサポートを受けましょう。専門家のサポートを受けながらインタフェースの仕様書を作成すると、連携の詳細を明確化できます。仕様書があれば、将来的な変更時や問題解決に役立ちます。

インタフェースの調整には時間を要しますが、ERPの連携機能を最大限に活用するために欠かせない作業です。

開発要員の確保

ERPの連携機能を実現するには、開発要員の確保が欠かせません。優秀な人材を集めれば、スムーズに連携機能を実装できます。開発要員の確保には、以下の3つの方法があります。

  • 社内リソースを活用する
  • 外部リソースを活用する
  • 専門家を雇用する

社内リソースを活用する場合は、既存スタッフのスキルアップと教育が重要です。外部リソースを活用する場合は、プロジェクトマネージャーの確保と育成に注力する必要があります。開発要員を確保する際は、開発チームの体制構築と役割分担の明確化も重要です。

連携開発に精通した専門家の採用や、必要に応じた短期契約の開発者雇用も検討してください。開発要員の確保では、開発要員の負荷分散と適切な人員配置に注意が必要です。開発要員に過度な負担がかかると、品質低下やスケジュール遅延のリスクが高まるからです。

クラウドERPを選択すれば、プロバイダーのサポートチームも活用できて、開発要員の負担を軽減できます

データ連携ツールの活用

データ連携ツールを活用すれば、ERPと他のシステムとの連携で、より簡単かつ効率的な開発が可能です。データ連携ツールの活用により、開発要員の負担や連携作業の時間とコストを削減できます。以下のデータ連携ツールの活用がおすすめです。

  • ETLツール
  • iPaaSソリューション
  • ミドルウェア
  • RPA
  • ノーコード/ローコードツール

データ連携ツールを活用すれば、プログラミングスキルがなくてもデータの抽出や変換、読み込みなどの作業を自動化できます。リアルタイムのデータ同期や、複雑なデータ変換の実行も可能です。データ連携ツールは、自社のニーズや既存システムの環境に合わせて選択してください。

導入前にデモや試用版を利用して、使いやすさや機能の充実度を確認しましょう。

セキュリティの確保

セキュリティの確保は、ERPの連携機能における重要な課題です。情報漏出や不正アクセスを防ぐために、さまざまなセキュリティ対策を講じる必要があります。セキュリティ確保には、以下の方法が有効です。

  • データの暗号化
  • アクセス制御の強化
  • 認証システムの導入
  • ファイアウォールの設置
  • 定期的なセキュリティ監査

技術的な対策以外にも、従業員のセキュリティ意識向上が重要です。セキュリティポリシーを理解して遵守できる体制を整えるために、全社員を対象とした定期的な教育や訓練を実施しましょう。最新のセキュリティ脅威に対応するには、常に新しい対策方法を学ぶ必要があります。

システムの継続的な更新も重要です。技術面と人的面の両方からのアプローチにより、一層強固なセキュリティ体制の構築が可能です。ERPシステムを安全に運用するためには、セキュリティ対策に十分な投資と注意を払う必要があります。

ERPの連携機能を活用するときのポイント

ERPの連携機能を活用するときのポイントを紹介します。

連携の目的を明確にする

ERPの連携機能を活用するために、連携の目的を明確化しましょう。連携の目的を明確化すれば、効果的なシステム統合が可能です。連携の目的としては、以下の例が挙げられます。

  • 業務プロセスの効率化
  • コスト削減
  • リアルタイムでの情報共有
  • 経営判断の迅速化

目的が明確になれば、連携の方法や範囲を決められます。業務効率化を目的とする場合は、重複作業を減らすための連携方法を選択しましょう。コスト削減を目的とする場合は、システム運用コストを下げる連携方式がおすすめです。目的を明確にして不要な連携を回避すれば、効率的にシステムを構築できます。
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システムの互換性を確認する

ERPの連携機能を活用するために、システムの互換性を確認してください。互換性の確認を怠ると、導入後に大きな問題が発生します。互換性の確認には、以下の項目があります。

  • 既存システムとERPの互換性
  • データ形式やプロトコルの互換性
  • システムバージョンの互換性

システムの互換性に問題がある場合は、ミドルウェアやアダプターの導入を検討してください。クラウドERPを利用する場合は、APIやWebサービスの互換性の確認が必要です。システムの互換性は時間とともに変化するため、将来的なアップグレードや拡張性を考慮し、長期的な視点で確認しましょう。
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システムの互換性を確認する際は、テスト環境での事前検証をおすすめします。本番環境で問題が発生する前に、互換性の問題を発見して対処できます。
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データの一貫性を確保する

ERPの連携機能を活用する際は、データの一貫性の確保が重要です。正確な情報分析や意思決定ができて、業務の効率化につながります。データの一貫性を確保する方法は、以下のとおりです。

  • データマッピングをする
  • データの変換ルールを明確に定義する
  • マスターデータの統一と同期を徹底する
  • データの品質を確認する

適切なデータマッピングにより、フィールド間の整合性を確保できます。マスターデータの統一と同期を徹底し、データの品質を確認すると、エラーの早期発見と修正が可能です。データの一貫性を維持するためには、継続的な努力が必要です。データの一貫性を確保すれば、ERPの連携機能を最大限に活用できます。

専門知識をもつスタッフを確保する

ERPシステムの連携機能を活用する際は、専門知識をもつスタッフを確保する必要があります。スタッフを確保する際は、以下の方法を参考にしてください。

  • ERPシステムに詳しいIT専門家を雇用する
  • ERPに詳しい外部の専門家と契約を結ぶ

専門的なスタッフがいない場合は、社内のIT部門のスタッフにERPの勉強してもらいましょう。定期的な勉強会で社内スタッフがERPの新しい技術や使い方を学べば、ERPの連携機能を効果的に活用できます。ERPを構築した会社のサポートサービス利用も有効です。

専門知識をもつスタッフを確保し、ERPのスキルを高め続けることで、ERPの連携機能を最大限に活用できます。ERPの連携機能を最大限に活用すれば、業務の効率化やデータの正確性の向上など、多くのメリットを得られます。

まとめ

ERPの連携機能は、企業の業務効率化とデータ一元管理に欠かせない重要な要素です。さまざまな連携方法や具体例を紹介しましたが、自社に合った連携方法を選択してください。ERPの連携機能を活用する際は目的を明確化し、システムの互換性を事前に確認しましょう。

データの一貫性を保ち、専門知識をもつスタッフを雇用すると、より効果的に連携できます。ERPの連携機能には課題がありますが、適切な対策を講じれば解決可能です。ERPの連携機能を活用すれば、業務の効率化やデータ管理の改善など、多くのメリットを得られます。自社の状況に合わせて活用してください。